【専門家解説】「ブレスワーク」と「ヨガの呼吸法」の違いとは?実は似て非なるその世界
- Chiharu Miura
- 2 日前
- 読了時間: 5分

最近、ウェルネス業界やSNSで話題の「ブレスワーク(Breathwork)」。
「ヨガの呼吸法(プラーナヤーマ)と何が違うの?」
「海外で流行っているみたいだけど、ただの深呼吸?」
そんな疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。
どちらも「呼吸を使って心と体を整える」点では共通していますが、そのメカニズム、自律神経へのアプローチ、そして目指すゴールはまったくの別物です。
今回は、近年世界で注目のブレスワークと伝統的なヨガの呼吸法の決定的な違いを分かりやすく解説します。
🔥 ブレスワーク(Breathwork)とは?「感情の解放とカタルシス」
「Breathwork」を直訳すると日本語では「呼吸法」。
でもここで言う「Brathwork 」とは、呼吸法の中でも特定のメソッドを指します。
現代のブレスワークでは「コンシャス・コネクテッド・ブリージング」や「ホロトロピック・ブレスワーク」などが有名ですが、これはどれも主に口呼吸を使って、休むことなく連続して強く・深く呼吸を続けるアプローチです。
1. 意図的に交感神経を高める
あえて過換気に近い状態を作り出すことで、自律神経の交感神経を一気に優位にします。
2. 抑圧された感情の解放(カタルシス)
体に溜め込まれたトラウマや、普段は蓋をしている感情(怒り、悲しみ、不安)を表面化させ、一気に吐き出して解放していきます。
呼吸のやり方: 主に口呼吸、リズムを止めずに連続して深く吸い・吐く
体感: 手足のしびれ、感情が溢れ出す、涙が出る、強い爽快感や変性意識状態(トランス状態)
目的: トラウマの解放、感情のリセット、深い気づき
🧘♀️ ヨガの呼吸法(プラーナヤーマ)とは?「エネルギーの調和と静寂」
一方、数千年の歴史を持つヨガの呼吸法プラーナヤーマ(調息法。プラナヤマとも呼ばれます)は、単に深呼吸をするのではなく、「プラーナ(生命エネルギー・気)」をコントロールし、心と自律神経を調和へ導くアプローチです。
単一のメソッドで行うブレスワークとは異なり、ヨガの呼吸法には「今の自分の状態に合わせて選べる」という大きな特徴があります。
「今の自分の心と体には、熱が必要か?冷却が必要か?それとも調和か?」を見極め、吸う息・吐く息・息を止める(クンバカ)時間を繊細に微調整していくのが、ヨガのプラーナヤーマです。
カパラバティ: お腹を力強く使って頭をすっきりさせ、気を一気に活性化させる(陽)
ナディ・ショーダナ(片鼻交互呼吸): 左右の鼻を交互に使い、自律神経やエネルギーバランスを整える(調和)
シータリー呼吸: 熱を冷まし、高ぶった身体や感情をクールダウンさせる(陰)
「ヨガの八支則」から見る呼吸法の役割
ヨガの哲学には、最終的なゴール(悟り・絶対的な静寂)へ向かうための8つの階段、「八支則」という教えがあります。
ヤマ(日常で行わないほうがいいこと)
ニヤマ(日常で行うべき良い行い)
アーサナ(ヨガのポーズ・座法)
プラーナヤーマ(呼吸法・調気法)★
プラティヤハラ(感覚を内側に引き戻す)
ダーラナー(深い集中)
ディヤーナ(瞑想状態)
サマーディ(悟り・絶対的な調和)
私たちがマットの上で行う「ヨガのポーズ(アーサナ)」の次に来るのが、「呼吸法(プラーナヤーマ)」です。
1. 「副交感神経(リラックス)」を優位にし、神経系をなだめる
鼻呼吸をベースに、吸う息・吐く息の長さを整えたり、呼吸を保つ(保息・クンバカ)時間を作ったりすることで、過敏になった自律神経をなだめていきます。
2. 心の波を静め、瞑想状態へ入る準備をする
激しい感情の吐き出しではなく、「波立った心の波をどこまで静かに平らにできるか」を目指します。
呼吸のやり方: 主に鼻呼吸、繊細なコントロール、息を止める・呼気と吸気の比率を整える
体感: 静寂、頭の中がクリアになる、安定感
目的: 「気(プラーナ)」の巡りを整える、自律神経の安定、瞑想への導入
📊 一目でわかる!ブレスワークとヨガの呼吸法の比較表
比較項目 | ブレスワーク(Breathwork) | ヨガの呼吸法(Pranayama) |
主な呼吸法 | 口呼吸(連続したダイナミックな呼吸) | 鼻呼吸(微細でコントロールされた呼吸) |
自律神経のアプローチ | 一時的に交感神経を高め突破する | 副交感神経を優位にし、神経系を鎮める |
主な目的 | 感情の解放・トラウマのリセット | 気(エネルギー)の調整・心の静寂 |
体感の性質 | カタルシス(ダイナミック・アクティブ) | 静寂(グラウンディング・静的) |
こんな時におすすめ | 自分の限界や壁を突破したい、感情を排出したい | 自律神経を整えたい、心を落ち着かせたい、日常をブレずに生きたい |
陰ヨガと「呼吸」の切り離せない関係
陰ヨガのプラクティスでも、「呼吸」は最も大切なパートナーです。
陰ヨガでは、無理に深い呼吸をするのではなく、「自然な鼻呼吸」を通じて自律神経を副交感神経へと切り替え、筋膜や関節の緊張をほぐしていきます。
ポーズを数分間キープする間、静かな呼吸を繰り返すことで、体の中の経絡(エネルギーの通り道)に「気」が満ちていき、心身の奥深くに溜まった疲労やストレスが自然と溶け出していきます。
「ブレスワークのような激しい感情の解放は少し怖そう…」
「日常の忙しさで擦り切れた神経を、安全に優しく癒したい」
そんな方には、陰ヨガの静かな呼吸のアプローチがとてもおすすめです。
自分に合った「息(生き)方」を選ぶ
ブレスワークもヨガの呼吸法も、どちらが優れているというわけではありません。
今の自分の心と体が「不要な感情を外へ吐き出したい(陽)」のか、それとも「静かにエネルギーを満たしたい(陰)」のかによって、必要なツールを選ぶことが大切です。
自分の心と体、そして自律神経の状態に耳を澄ませる時間を、陰ヨガを通じて始めてみませんか?
日本陰ヨガ協会では、陰ヨガのポーズだけでなく、中医学に基づく「気の巡り」や「自律神経と呼吸のメカニズム」を深く学べる指導者養成講座を開催しています。




コメント